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  三葉(みつば) Official Blog
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ルパンの腕時計 YEMA meangraph super Marine model
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    アニメ・ルパン三世といえば、説明無用の作品。
    1971年から始まったファーストシリーズにはじまり、77年からのセカンドシリーズ、84年からのPart靴3種のシリーズが放映されました

    ルパンはフランスやスペインなどの海外でも放映されていて、特にフランスではEdgarという名前で高い人気があるそうです。

    さて、作中ではフィアット500やメルセデス・ベンツSSKなど、実在の車やアイテムが多く登場します。
    それは登場人物の付ける腕時計も同じで、ファーストシリーズの次元はZENITH(ゼニス)El Primero A384、新ルパンではROLEX(ロレックス) SUBMARINERです。



    ですが、肝心のルパン自身がファーストシリーズで使っている腕時計(第一話・ルパンは燃えているか・・・・?!に登場)の詳細だけは何処を探しても見つかりません。
    ネットで手に入れることが出来るのは当時の設定資料だけで、詳細については様々な憶測が飛び交っています。





    この画像を見れば分かるのですが、ルパンの腕時計は盤面のメーカー名は秒針で隠れていて、M、Aの2文字のみが確認可能です。
    そのためネット上では、その2文字のヒントから、ファーストルパンの腕時計はスイスの時計メーカー・CYMA(シーマ)製ではないかと言われています。
    どのブログも「同じモデルは見つからないので、おそらくはアニメの製作スタッフが作ったオリジナルモデルではないか」ということで片付けられています。

    ですが、その意見はあまりに不自然なのです。
    第一話はF1グランプリが舞台で、次元の腕時計をはじめ、「ロータス72」や「ジョン・サーティース」といったマニアックな固有名詞がそのまま出ているのに、ルパンの腕時計だけがオリジナルなんてことはあり得にくいのです。

    それでは、ルパンの腕時計の正体は何なのか。

    着目するのはケースと盤面です。
    少し角ばったケースの2つ目クロノグラフは、1970年代のヨーロッパ製腕時計に多く見られるデザインで、その多くがムーブメントにバルジュー(現ETA)の7760か7733を搭載しています。

    ということで、バルジューを採用し、1970年付近に発売された腕時計をしらみつぶしに探し、バルジューに詳しい、あるフランスの腕時計コレクターにアニメのキャプチャー画面について質問をしたところ、正解が返ってきました。



    メーカー名:YEMA(イエマ)
    モデル名:meangraph super
    製造年:1970年
    生産国:フランス

    まさにルパンの腕時計そのものです。

    YEMAは1948年創業のフランスの腕時計メーカーで、1988年にSEIKOの傘下に入ったものの、2005年にフランスのファンドがブランドを買い戻し、現在は純フランスのブランドです。
    YEMAは、1970年付近に、同じくフランスの腕時計メーカー・LE JOURを買収しました。

    meangraph superはLE JOURが製作した腕時計で、丁度YEMAに買収されたタイミングに生産されていたモデルでもあったので、全く同じデザインで、LE JOURネームとYEMAネームの2バージョンが存在します。
    もちろん、ファーストルパンに登場したのは、YEMAブランドで発売されたバージョンです。



    が、詳細が分かったのだから同じものを探せば良い・・・・・・と思うのは甘く、コレクターいわくmeangraph superには様々な種類があり、合計しても生産された数は非常に少なく、状態の良い物を手に入れることは出来ないというのです。
    しかも、ルパンの腕時計は、meangraphの中でもMarineと呼ばれるスペシャルモデルで、フランスのあるヨットレースの選手たちのために限られた数を生産したモデルだと言うのです。
    何が違うかといえば、回転ベゼルの目盛が5秒間隔になっているのと、ケース裏側にヨットの刻印が入っているだけです。

    さらに話を聞くと、ビンテージのYEMA製腕時計は、その希少性とデザイン性の高さで、今でもコレクターがフランスに多く居て、ビンテージモデルのYEMAだけを集めた展覧会すらもあると言うのです。
    コンタクトを取ったフランス人コレクターもその一人で、多数のYEMAの腕時計を所有していると言うので、ルパンの腕時計を探していることを正直に言うと、話は意外な方向に向かいました。

    コンタクトを取ったその男性は、実は1970年当時、meangraph superを生産していたYEMA社の役員だったと言うのです。
    だから今でもYEMAの腕時計をコレクションし続けているとのことでした。

    ところが、その男性はルパンに自社の腕時計が登場していたことを知らなかったのです。
    もちろん、日本での放映から数十年が経ってからフランスでの放映が始まったので、無理もありません。

    そ れはともかく、40年も経ってから、自分の作った腕時計が、はるか遠くの国(しかも会社を買収した企業の国)の人気アニメ作品に登場していたことは彼に とっては非常に大きなサプライズだったようで、「これは大発見だから仲間たちにも報告しなければ」とメールからも興奮しているのが伝わりました。

    その上で結局「こんな素晴らしいことをこの年齢で知ることが出来るとは思わなかった。是非これはアナタが持っていてください」と、その方が所有していた新品状態のmeangraph superのMarineモデルを譲っていただきました。
    物と人の縁は、ときに非常に不思議な展開を見せる。



    それにしても、何故ルパンはこんなマニアックな腕時計を付けていたのだろうか。

    当時の日本にYEMAの腕時計はほとんど輸入されていないはずなので、スイスの腕時計見本市・バーゼルフェアのカタログや写真を見て「おナイスデザイン」てな感じでデザインしたのだろうかと勝手に推測をしています。
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